語尾が-coccusなっている菌種はほぼグラム陽性球菌です。グラム陽性とはグラム染色で青く染まる菌の総称で、中でもグラム陽性球菌には臨床的にいくつかの重要な菌種が含まれます。英語では、gram-positive coccus(coccusの複数形でcocciと表記されることもある)はGPCと略されます。
グラム染色所見から、連鎖状(chain)とブドウの房状(cluster)に分類されます。カタラーゼの有無によっても分類され、chainはカタラーゼ陰性、clusterはカタラーゼ陽性を示します。
chainの代表的な属は、Streptococcus(連鎖球菌、レンサ球菌)属とEnterococcus(腸球菌)属です。
Streptococcus属では、溶血性と血清型(特にLancefield型)が重要で、溶血性はα溶血(不完全溶血)、β溶血(完全溶血)、γ溶血(非溶血)に、Lancefield血清型はA群、B群、などに分類されます。Streptococcus pyogenesとStreptococcus agalactiaeは、どちらもβ溶血性を示し、β溶血性連鎖球菌(いわゆる溶連菌)と総称され、それぞれA群とB群とほぼ同義であるため、group A Streptococcus、group B Streptococcusの略で、GAS、GBSとも呼ばれます。尚、Streptococcus pneumoniae(肺炎球菌)はα溶血性を示します。Streptococcus dysgalactiae subsp. equisimilis(SDSE)もβ溶血性の代表的な菌種で、CまたはG群に属しますが、しばしばA群を示すことが知られています。
clusterの代表的な属は、Staphylococcus(ブドウ球菌)属です。
Staphylococcus(ブドウ球菌)属は、コアグラーゼの有無とメチシリン耐性の有無が重要です。
コアグラーゼを持たないブドウ球菌は、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、coagulase-negative Staphylococcus(CNS)と総称されます。
コアグラーゼ陽性のブドウ球菌はほとんどが、Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)ですが、Staphylococcus intermediusやStaphylococcus pseudointermedius、Staphylococcus hyicus等も知られています。CNSの代表は、Staphylococcus epidermidisですが、多くの菌種がCNSに含まれます。Staphylococcus saprophyticusは、尿路感染症(UTI)の原因菌として知られるCNSです。
| 属 | Streptococcus 連鎖球菌 |
Enterococcus 腸球菌 |
Staphylococcus ブドウ球菌 |
|---|---|---|---|
| 形状 | 連鎖状(chain) | ブドウの房状(cluster) | |
| カタラーゼ | 陰性 | 陽性 | |
| 代表的な菌種 |
S. pneumoniae S. pyogenes(GAS) S. agalactiae(GBS) |
E. faecalis E. faecium |
S. aureus S. epidermidis |
緑色連鎖球菌(Viridans Streptococcus)
まれなEnterococcusの菌種
比較的まれなcoagulase negative Staphylococcus